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生きた水

 房総丘陵のほぼ中央にある久留里は、かつての城下町。昔ながらの石壁や蔵、瓦葺の商家など、至るところにその風情が残っている。

  久留里街道沿いの本町内では、掘り抜き井戸が各家庭分も合わせて42箇所あり、その内6箇所が一般に開放されている水の豊かな町だ。清澄、三石山系から地下水脈を通ってあふれ出てくる水は、炭酸やミネラル、乳酸菌などを豊富に含んだもので、地元では“生きた水”として日常生活に使っている。

 町のあちこちにある井戸には、週末、多くの人が水を汲みにやってきて、順番待ちの人が並ぶ風景も珍しくない。この水が久留里に多くの美味しいものをもたらしてきた。

生きた水の町久留里


久留里の水の歴史
水は命の源である。水辺に人が群がり、家が建ち村落ができる。
 久留里の街は小櫃川河岸から戸数が増えて汲み井戸が掘られて今の街並みが出来た。

 市場新町の大井戸は、寛永年間(1623〜)、庶民の生活用水として広く利用されてきた。 嘉永年間(1848〜)、上町横手通りの山麓に横穴を掘って清水を集めて「竹とよ」で上町8ヶ所の余水桶に給水し共同で利用した。

 明治15年、俵田の大村安之助氏が掘り抜き井戸(上総掘り)を完成させてから、市場各所で競って、深さ100メートルから300メートルの深井戸を掘り1分間180リットルの石水の自噴を得た。掘り抜き井戸の水は良質で夏冷たく冬は暖かく鉄分が少ないので醸造に適しているとのことである。

 上町高澤家の井戸は、上総掘りで深さ600メートルの一枚岩を打ち抜きその下の荒砂層から、湧き出て水量毎分100リットルである。平成3年5月30日、千葉県薬剤師会の検査センターで水質検査の結果、塩素系・細菌群・硬物質系共に検出されず透明度等も最上質の飲料水として折紙つきである。

  房総丘陵は、第三紀層からなり南面が隆起した断層で、三石山系の山林に降った雨水が地層をくぐって、天然にろ過されて、久留里方面の井戸に湧き出てくる。仲町の掘り抜き井戸は昭和10年6月竣工したものだが、 深さ2106尺(632メートル)、 出水量毎分9斗(162リットル)、 ブリキの入子径2寸長さ1488尺(446メートル)で60年近く経た今でもこんこんと湧き出ている。

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